第25回 ビジョンハウス倶楽部「スポーツから学ぶチームづくり」を開催しました!
2020/10/31
メンバーの主体性を最大限発揮できるチームをどうつくり上げていけばいいのでしょうか?
女子バレーボール元日本代表の竹下佳江氏、英治出版の代表取締役である原田英治氏と考えるビジョンハウス倶楽部初のオンラインセミナーを開催しました。
1.概要
株式会社HRインスティテュート(本社:東京都渋谷区、代表:三坂健、以下HRI)は、「第25回 ビジョンハウス倶楽部」を2020年9月29日(月)にオンラインセミナー形式にて開催しました。
「ビジョンハウス倶楽部」は、教育、医療、環境といった社会的テーマについて国内外の現状を学び「社会のために何ができるのか」を考え、意見交換する場として、HRIが2007年より開催している参加費無料のソーシャルイベントです。
女子バレーボール元日本代表の竹下佳江(たけした・よしえ)氏、「ティール組織」と、組織開発についての名著を数々世に送り出してきた英治出版株式会社の代表取締役である原田英治(はらだ・えいじ)氏をお招きし、「スポーツから学ぶチームづくり」をテーマに、約100名の参加者に向けパネルディスカッションを行いました。
バレーボール・ビジネスのいずれも、チームに属する「個人」の力を引き出すことで、「チーム」の力を最大化していくことを目指しています。
世界で戦えるチームを率いてきた竹下氏と、仲間と一緒に未来を創っていく経営を目指されている原田氏のコラボレーションによって、コロナ禍で不確実性が増していく世の中を進んでいくためのたくさんのヒントをいただけた貴重な機会となりました。
2.パネルディスカッション
今回はビジョンハウスクラブ初のオンライン開催ということで、弊社代表の三坂がモデレーターを務め、竹下氏・原田氏両名とパネルディスカッション形式にて、スポーツ界・ビジネス界それぞれにおけるチームづくりについて議論を深めていきました。ディスカッションのトピックをいくつかご紹介いたします。
◆「個性が発揮される」チームとは?
原田氏からは「ティール組織」の考え方をベースとして、
「自分の全部が出せる組織にいられることで個が活きる」、
「どうなるか分からない時代では、組織の枠を個がはみだすからこそ成長が生まれる」、
「自分の発言を勘違いされた時こそ、場に新しい意味が生まれる」、といった、
ご自身の経営者としてのご経験からくるコメントをいただきました。
竹下氏からは選手として、そして監督としてご活躍されたご経験をもとに、
「ロンドン五輪時のように、色々な個性を持っているメンバーがそれぞれの個性を認めて、お互いに自立しているチーム」、
「選手それぞれとコミュにケーションをとって、今何が必要かを各個人と話してくれる指導者の存在」、
といったコメントをいただきました。
◆「助け合い」のできるチームづくりをするにはどうしたらいいか?
また、バレーボールは「助け合い」のスポーツである、という竹下氏の考えから、「助け合いのできるチームづくり」のテーマでディスカッションを行いました。
バレーボールには一人では解決できないプレーがたくさんある、と言う竹下氏からは、
「自分と個性・考え方の違う人が、いかに試合で力を発揮してくれるかを、みんなで共有しながら考える」、
「(セッターとして)スパイカーのメンバーとの日常会話や、相手の日々のコンディションなども観察し、分析する」、
「ある程度の技術習得を終えたメンバーに対しては、考えさせるテーマを与えて、各個人が考えることが大事」、
仕事においてはメンバーの力を引き出すことに重きを置いている、という原田氏からは、
「チームとして色々な人のリーダーシップがシェアされている状態(シェアード・リーダーシップ)を目指す」、
「効率性だけを考えてリーダーが全てをコントロールするのではなく、各自のセルフマネジメントで成り立つチームづくりを行う」、
などのご意見が挙がりました。
「メンバーの個性を発揮する」、「チームで助け合いを行う」という2つは、一見すると両立が難しいように思えます。
今回のパネルディスカッションでは、その一つの解として、「自立したそれぞれのメンバーがお互いの個性を認め合い、自分の全部をさらけ出せるように助け合う」ことが、不確実な世の中において組織が成長していくためのカギとなることを発見することができました。
3.QAセッション
パネルディスカッション終了後、Zoomのブレイクアウト機能を用いて、参加者の皆さまと弊社メンバーがフリーディスカッションを行い、改めてパネラーのお二方から質問にお答えいただくQAセッションの時間を設け、計15個の問いに対してお答えいただきました。
(QA内容の一部ご紹介)
「個性の強い選手たちをまとめる、キャプテンとしての工夫は?」
→(竹下氏)自分が先頭を走って必死にやっていくこと。中心選手だったので、どの立場になって発言すればベストなのかを考えるようになった。
「成果の出ない、やる気がない人への対応は?」
→(竹下氏)みんな目標を設定して頑張ってはいるが、誰しも波がある。上手くいかない時にも歩み寄って、相手が何を考えているのかを会話しながら、問題をつぶしていく。辛抱強く指導することと、前に進んでいくことへのバランスを取っていく。そういう時はネガティブになっていることが多いので、ポジティブに変換するように意識していた。
「個性を活かすにあたって、個人の裁量をどこまで認めるのか?」
→(原田氏)モチベーションを落とさないことが大事。みんなでフィードバックする仕組みをつくり、相手が『自分が納得して決断している』と思うまで、周りがみんなで本人にフィードバックしていく。あくまで本人が納得しているかどうかが大事。
「壁を超えていける、一流の人の違いは?」
→(竹下氏)壁を超えるためには、本人たちに工夫をしてもらわないといけない。考えることから逃げない、しっかりしたビジョンがある人が壁を超えていける。考えることが中途半端な人はそこで止まってしまう。
「ティール組織を目指すにあたって工夫していることは?」
→(原田氏)英治出版では全員が拍手すると企画が決まる。発案者に対して、色々と質問しながらみんなでフィードバックしていく。すると、企画者の提案が精緻化されていき、十分なフィードバックがなされた、というタイミングで自然に拍手が起こる。個人の情熱が最初にあって、そこから周囲のフィードバックがある、という流れが大切。
これ以外にもさまざまなご質問を参加者の皆さまからいただくことができました。
竹下氏にはトッププレーヤーにしか語ることのできない目線からのアドバイス、原田氏からは「フィードバック」を軸にしたメンバーひとりひとりの個性を活かすための具体的な取り組みをご紹介いただきました。
時間の都合上、全てのご質問にお答えすることができなかったのは非常に残念ではありますが、オンライン開催によるポジティブな影響を垣間見ることができ、コロナ禍においても皆さまとの強いつながりを感じさせていただきました。
4.セミナー参加者の感想
ご参加いただいた方々からは、以下のような感想が寄せられていました。
「原田さんの最後のメッセージ、「仲間と創る未来は、自分の理想の未来を超えるかもしれない。社会は自分の予想以上に早く変わるかもしれないが、仲間と創る未来ならそれに同期していける。」というのが心に残りました。すばらしいまとめだったと思います。」
「竹下佳江さんのリアルなお話と今話題の書籍を出版している原田さんのお話はとても興味深いものでした。特にアスリートを含めたチーム活動をしていくのに参考になり、個性を引き出し方など参考にします。」
「『助け合いコミュニケーション』『フィードバックによるチーム力向上』がキーワードだと思いました。明るい日本社会構築に、今後も是非ご活躍お願いします。私も、大いに参考にして頑張りたいと思います。」
「ビジネスの世界、スポーツの世界の掛け合わせはなかなかない機会だったので、非常に満足です。個人的にもビジネスとスポーツは共通した部分が多いと思っていたので、トップランナーの二人の話を聞いて確信できました。」
初のパネルディスカッション形式での開催でしたが、パネラーのお二人のリアルな実体験から語られるひとつひとつの言葉が、悩みを抱える参加者の皆さまの心に刺さったようで、大変うれしく思います。
5.終わりに
スポーツ界から竹下氏、ビジネス界から原田氏をお招きし、二つの視点から「メンバーの主体性を最大限発揮できるチームづくり」について議論を深めた今回のビジョンハウス倶楽部。セミナーを通してのキーワードは「助け合う」でした。
「助け合い」のスポーツであるバレーボールにおいては、それぞれのメンバーが助け合って喜びを分かち合っており、原田氏の英治出版においても、ひとりでできることが限られている中で、お互いがリーダーシップをシェアしていくことで、個性を活かす組織を目指されていました。
また、この不安定・不確実な情勢の中、これから社会人になろうとする方々に対して、原田氏からは、「自分たちが思っているより、社会は早く変わるが、仲間と作る現実は自分の理想を超えていく。自分が強くなることより、仲間との力を信じてみてほしい。」、竹下氏からは、「コロナ禍で難しい現実に誰もが向き合っているが、「今できること」に意識を変えていく。そこでの経験が先につながっていく、とプラスに捉えていって欲しい。」と、熱いエールをいただきました。
われわれHRインスティテュートも、「主体性を挽き出す」というミッションのもと、ひとりひとりのお客さまと真摯に向き合い、それぞれの組織・個人が「らしく」力を発揮していくためのお手伝いをさせていただいております。
先の見えない状況での開催ではありましたが、今回のセミナーは弊社にとっても、ひとりひとりの個性を発揮しながら強いチームをつくっていくことを率先して行っていきたい、と改めて感じさせていただく貴重な経験となりました。
ビジョンハウス倶楽部は、「シェアリング」というコンセプトのもと、HRIが社会貢献活動の一環として定期的に開催しているイベントです。“これからの未来”を希望あふれる日々にしていく取り組みの一環として、今後も多彩なゲストをお招きし、参加費完全無料で様々な学びを参加者同士がシェアできる場をご用意してまいります。
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