【 開催報告 】第29回 ビジョンハウス倶楽部
2023/8/22
ウガンダの女性が誇るブランドを世界に ~エシカルサプライチェーンの構築に向けて~
2023年6月10日(土)、4年ぶりにビジョンハウス倶楽部を、赤坂インターシティコンファレンスにて対面開催しました。
エシカルな消費行動とは何か、製品が届けられるためのプロセスに配慮したものづくりに向けて工夫できることは何か、という問いに対し、株式会社RICCI EVERYDAY代表取締役の仲本 千津 様をお招きして、一緒にヒントを考えていきました。
1.概要
「 ビジョンハウス倶楽部 」 は、教育、医療、環境といった社会的テーマについて、国内外の現状を学び「 社会のために何ができるのか 」を考え、意見交換の場として、HRIが2007年より開催している参加費無料のソーシャルイベントです。
2.テーマ
今回のテーマは、エシカルサプライチェーンです。 近頃は「エシカル消費」という言葉をよく耳にします。 値段や品質に加え、 製品が届けられるまでのプロセスにも関心が高まっています。 こうした社会環境の中で、 RICCI EVERYDAYでは、 大胆な色使いとユニークな柄が特徴のアフリカンプリントの商品を消費者に届けつつ、 エシカルサプライチェーンの構築に挑戦しています。 今回は、 エシカルなものづくりの現場で行っている取り組み内容や、 ウガンダの女性たちをマネジメントするうえで工夫していること等について、 時に生々しいストーリーをもとに語っていただきました。
3.基調講演
まず、 仲本さんから創業のきっかけや解決したい社会課題についてご説明いただきました。 ウガンダはジェンダーギャップ指数注ⅰでは、 日本より上位( ウガンダ : 61位、 日本 : 116位 ジェンダーギャップ指数2022より ) に位置します。 一方で、 農村部では男尊女卑の伝統的な価値観のもと女性は家族の意思決定に参加することが出来ず、 また家庭内暴力の発生で、 厳しい立場にいます。 なお、 17歳以下の子どもたちの中で、 母子世帯で暮らす子は、 全体の20%と日本の約2倍です。 このような苦境に立たされた女性たちが、 教育水準や社会背景に関わらず、 ゆたかな生活を送ることが出来る機会を提供したい、 という想いをもって縫製業に着目して創業したのがRICCI EVERYDAYです。
しかし、 ファッション産業は全産業で2番目の環境汚染産業とも言われています。 手に届きやすい値段のファストファッションが流行し、 気軽に購入が出来るようになった一方で、 水を大量に消費し衣類の染色過程での水質汚染が問題になっています。 このようなファッション業界の現状と向き合い、 Game Changerになるべく、 RICCI EVERYDAYでは以下のような取り組みを行っています。
1.素材調達過程では、ガーナにある最新鋭の浄水装置を有した染色工場と取引を行っています。
2.生産過程では、都市部に暮らすシングルマザーを中心に社会的に疎外されてきた人々を積極的に雇用し、
彼女たちの労働環境を守りながら仕事をしています。
3.物流・販売過程では、工場から顧客とブランドを直接結びつけて透明性を確保し、適正価格と生産者への還元を同時に実現させています。
更に、ソーシャルインパクトをより大きくするために、ものづくりを通じた人づくりを鍵に、働く女性たちの自己肯定感を高めながら、経済活動に巻き込み、共に成長をしていきたいと今後の意気込みを語っていただきました。
4.質疑応答
後半の質疑応答セッションでは、Slido注ⅱを活用して質問・感想が活発に飛び交いました。一部ここでご紹介させていただきます。
● なぜ、ウガンダを選んだのでしょうか?
● 銀行から転職すること、勇気が必要だったかと思います。
なぜその勇気がでて、NGOに転職ができたと思いますか?
● 銀行で学んだ事で、事業で特に役に立った事はございますか?
● 海外の人材採用において長く熱心に活躍してくれる人を見極めるのは難しいと感じるのですが
工夫されていることがあれば教えていただきたいです。
● 異文化のギャップによって発生したネガティブ感情を、どうやりくりしていますか?
● いま困っている、誰かとの共創により実現したいことはありますか?
上記の質問に対して、仲本さんから自らの経験を踏まえてエピソードを具体的に、時には笑いやユーモアを交えながらご回答いただきました。 時間の都合で全てのご質問にお答えすることは出来かねましたが、 1つの質問にお答えいただいている間もどんどん質問や感想がSlidoに入ってきていました。 ご参加いただいた方々の関心の高さや熱量を目の当たりにして、運営する私たちも勇気と刺激をいただきました。
5.参加者の声
ご参加いただいた方々からは、以下のような感想が寄せられました。仲本さんのお話への感想に加えて、久しぶりの対面開催への喜びの声も頂戴しました。
● 私自身、身近ではなかったウガンダの現状やエシカル消費について考えるきっかけとなりました。
こうした研修の機会が疑問を生み、行動を起こせると思ったので、大変満足です。
● グローバル展開する企業の経営者理論についてが、とても参考になりました。
● 自分の価値観が広がった。自分のグローバルな挑戦に向けた活力になった。
● 価値観がかわる講演でした。人の大切さ、買い物をする基準などこれから変わると思います。ありがとうございました。
● 普段の生活では出会わないウガンダのことを知れて、とても良かったです。素敵な方々とお話しできて楽しかったです。
皆さまから頂いた声は、次回開催の参考にさせていただきます。ありがとうございました。
6.終わりに
今回はエシカルサプライチェーンをテーマに、仲本さんをゲストにお招きして基調講演をしていただきましたが、根幹にあるのは人である、ということを再認識しました。ものづくりを支えるのは生産現場で働く一人一人の方々です。その方々がどのような働き方をしているのかへ想いを馳せることがエシカルな消費行動につながると認識しました。
私達HRインスティテュートでは、「 主体性を挽き出す 」というミッションを非常に大事にしています。 縁があってお会いする方々がどうすれば自分の大事にしている価値観やビジョンに気づき、「 らしさ 」を発揮して実現に向けて一歩を踏み出し続けるのか、 日々考えながら行動をしています。 仲本さんのお話にあった「 ものづくりを通じた人づくり 」 というキーワードを胸に、 今後も一人一人に寄り添って働いている姿に想いを馳せながら、価値を提供していきたいと考えました。
今後もHRインスティテュートでは、「 シェアリング 」というコンセプトのもとで、 社会貢献活動の一環として、 “ これからの未来 ” を希望あふれる日々にすべくビジョンハウス倶楽部を開催していきます。 取り組み多彩なゲストをお招きして、 参加費完全無料で様々な学びを参加者同士がシェアできる場をご用意してまいります。 また皆様とお会いできる日を楽しみにしています。
https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2022.pdf
なお、ジェンダーギャップ指数2023でも、日本より上位に位置する。(ウガンダ:78位、日本125位)
https://www.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2023
注ⅱ会議やイベント会場などで、参加者と双方向でQ&Aやライブ投票、アンケートなどを行えるクラウドサービスのこと
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