リーダー列伝

ハーバード・ケレハー

ハーバード・ケレハー

1932年、アメリカニュージャージー州生まれ。ニューヨーク大学
卒業後、テキサス州で法律事務所を開業。6年間、弁護士
業を行った後、クライアントに誘われ、当時、大手3社が独占していたテキサス州の航空業界へと参入。1971年、サウスウエスト航空を創業。年間売り上げ50億ドル以上の航空会社を誕生させ、2010年7月に、2011年のダラス連邦準備銀行取締役会の会長に就任。

略歴

1931年 アメリカニュージャージー州生まれ。
1956年 ニューヨーク大学法学部卒業
1960年 テキサス州アントニオで法律事務所開設
1971年 クライアントに誘われ、サウスウエスト航空創業
1978年 サウスウエスト航空CEO就任
2001年 CEO退任 しかし退任後も社にとどまる
2008年 サウスウエスト航空退社
2010年 2011年のダラス連邦準備銀行取締役会の会長に就任

リーダーとしての大きな特徴

1.ユーモア第一!楽しみ、楽しませることが大好き

・「ユーモアが基準」
「空の旅は思い切り面白くなくては!」が口癖のケレハー氏。社員を採用するときも、面白さを基準としている。ユーモアセンスのある人は変化にも素早く対応できるし、プレッシャーの中で面白いことを考えだすこともできるというのが自論。ケレハー氏も人を楽しませることが大好き。自身も女装したり、突飛な行動でしばしば周りを楽しませている。

2.有言実行を死守する誠実さ

・「ゆるぎない信頼関係」
95年サウスウエスト航空のパイロットたちが前例のない10年にわたる労働協約を会社と交わした。加えて、パイロットたちがストックオプションを見返りに賃金の5年間据え置きに合意した。これは、会社とパイロット組合の間のゆるぎない信頼関係の証。この協約が成立した背景には、何よりもケレハー氏が何事にも真剣に対応し、正直で、誰に対しても誠実であることを示してきたからである。パイロット組合の委員長シノブリッチ氏は、「ハーブの約束は、どんな書類よりも信用できる」という言葉も残している。

3.謙虚な戦略家

・「いい気になれば足元をすくわれる」
突飛な行動の一方で、明確な目標設定を立て、それに一貫した戦略を常に考えている。目標なき行動は起こさないし、成功しても、傲慢になって無茶な戦略を立てもしない。「全盛期にある企業ほど、自己満足に陥りやすいものだ」とし、短距離路線というニッチ路線を開拓するという本来の目標をつらぬきつつ、地道に成長を促してきた。

従業員に愛され、常識外れなやり方で航空業界の歴史に足跡を残した
「ユーモラスな破天荒経営者」

リーダーシップ・エピソード 

1.腕相撲で解決

ケレハー氏のユニークな行動の一つの代表としてよくあげられるのは、スティーブン・エビエ―ション社との間で行われた腕相撲対決。両社が、とある広告宣伝文の使用権を巡って争った時、ケレハー氏は、争いを法廷に持ち込まず、腕相撲で解決しようというスティーブン社の提案を受け入れた。結果、相手のスティーブンス航空の会長、カート・ハーウォルド氏に玉砕したものの、負け惜しみの気の利いたジョークが幸いしたのか、使用権を見事獲得した。

2.社員第一、顧客第二主義

顧客第一を掲げる企業が多い中、何よりも社員を第一に考えるべきだというケレハー氏。
その哲学は、「あなたが社員に接する態度は、そのまま社員が顧客に接する態度になる」というもの。社員の満足なしにして、顧客の満足はないと考える。社員には、とにかく楽しみ、ありのままの自分でいることを伝え、社員の成長を見守る。失敗も許容する。
社員がサウスウエスト航空のために何かを成し遂げようとしているときには、商売という点から見て、あまりよくない判断でも、とにかく見守るという。

3.わが町の航空会社

サウスウエスト航空は、LUV(ラブ)を銘柄にするほど、愛の精神を大切にし、社員自身がそれを表現することを望んでいる。また、運航している地域の人々から愛され、「わが町の航空会社」として親しみを持ってもらえるように、社員が地域社会のために活躍することを推奨している。ケレハー氏も、同社機長のディック・イースト氏が白血病で娘を亡くしたことをきっかけに、病気の子供たちを支援するロナルド・マクドナルド・ハウスを知り、全社的に支援を開始した。

ハーバード・ケレハーの名言

たまの失敗による損失など、大したことではない。それよりも、従業員が自由にリスクに挑戦し、創造性を発揮することによって得るもののほうが大きいのだ。

空の旅は思いきり面白くなくては!
人生は短く、辛く、深刻なんだから楽しまなければね。

第一の脅威は、われわれ自身だ!

参考文献 参考URL

  1. 「破天荒!サウスウエスト航空‐驚愕の経営」 (ケビン・フライバーグ ジャッキー・フライバーグ著 小播照雄訳 日経BP)
  2. 「サウスウエスト航空の奇跡 社員第一、顧客第二主義」 (伊集院憲弘 毎日新聞社) 

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