デービッド・パッカード
デービッド・パッカード
ヒューレット・パッカード 共同創業者
1912年アメリカコロラド州プエブロ生まれ。1934年スタンフォード大学教養学部学士号取得。そして1939年には電気工学の修士号を取得。その後、GE社でエンジニアとして働き、1938年にスタンフォード大学クラスメイトのウィリアム・ヒューレットとともにHPを設立。
1947年には株式会社を設立し、社長に就任。その後1964年に取締役会会長兼CEOに選任。その後ニクソン政権下で米国防省次官を務め、退任後はHPの取締役会会長に選任されました。その他、数多くの専門家集団、教育活動、市民活動、あるいは企業組織の活動に積極的に関わり、亡くなるまで社会貢献活動にも力を入れた。
略歴
1912年 アメリカコロラド州プエブロ生まれ
1934年 パロアルトのスタンフォード大学で将来のパートナーになるビル・ヒューレットと出会う
1938年 ゼネラルエレクトリック(GE)に勤務したのち、ビル・ヒューレットと再度チームを組む
1939年 ヒューレット・パッカード(HP)社を立ち上げる。資本金はわずかに538ドルだった
1942年 HPの売上高が200万ドルを記録
1970年 アメリカ経済が不況に陥るものの、HPは大規模な一時解雇を回避
1972年 HPがハンドヘルドの科学計算機、モデル35を発売
1980年代 HPは常にコンピュータメーカー上位5社の地位を維持する
1990年代 原点回帰の運動によってHPに活力がよみがえる
1996年 他界
リーダーとしての大きな特徴
1.優れた先見性と押し切る強さ
・「製品開発に対する執着」
すぐれた新製品を世に出し、技術革新を引き起こすことがHPの生命線だと信じていたパッカード氏。貢献できる製品だと感じたものに関しては、周囲の反対も押切り、推し進める強さも持つ。例えば、LEDの開発に関しては、1960年初めには社内で実用化しようという部門は1つもなかった。しかし、それでも研究を推し進め、結果的に電卓の数値表示への実用化に成功。HPの引き起こした技術革新の中でも、重要なものの一つになった。
2.誰とでも対等で親しみやすい
・「自由と自発性を促す」
社員が達成感を得るためには、社員一人ひとりに配慮と敬意をもって接し、彼らの功績を常に認めてあげることが大切と考えていたパッカード氏。スタッフの自由や自発性を促すために、スタッフとは対等な関係を築いていた。社員のどんな意見や反発も受け入れ、結婚や出産など何かスタッフに変化が会った時には、贈り物をするなど、家族的な雰囲気を作り出すために労力を費やしていた。
3.誠実でオープン
・「不況を乗り切る」
1970年、アメリカ経済が不況に陥ったとき、他の多くの企業がスタッフをレイオフし不況を乗り切っていたにも関わらず、パッカードは大規模なレイオフをしなかった。
その代わりに、状況をオープンにし、スタッフに新たな勤務パターンを実施することを提案し、合意している。つまりスタッフは2週間に10日ではなく9日働く。さらに経営者もスタッフも一律に10%の給与削減を実施するという内容を開示し、見事レイオフなしに不況を乗り切った。
ヒューレットパッカード社という最高の製品(会社)を生み出した
「堅実かつ少年のようなエンジニア経営者」
リーダーシップ・エピソード
1. 歩き回る経営
ヒューレット氏の経営スタイルは、開かれた経営。常に現場に赴き、従業員と関わる。
どこにヒューレット氏がいるか従業員に伝わるように配慮する。など、経営者と労働者という垣根を越えて、いつも従業員と話ができるような状態を作っていた。そのため、「組織ができあがったところで、その組織図は廃棄すべきだと私は常々考えている」という言葉の通り、チームはできるだけ小さく、最小限の管理ができる程度にキープするため、定期的に組織改革をしていた。これは、当時のアメリカ企業の中では、異色だった。
2.人への強い信頼
チャンスはあれば、誰でも能力を発揮できると信じていたパッカード氏。特に、GE時代に工具や部品が社員に盗まれないように厳重に敷かれた警備体制に不信感を抱いたという。会社が社員に対して信頼していることを示せば、結果的に、社員が日々の仕事で真の達成感を得られると信じていた。社員への信頼への証として、フレックスタイム制の導入、部品箱や倉庫の施錠禁止、退職した社員の復帰歓迎、などを実施していた。
3.目標による管理
パッカード氏は命令で動かす「支配による管理」と対比して「目標による管理」を経営の哲学としていた。「目標による管理」とは、全体の目標が明確に示され、合意されたあと、作業者はみな各自の責任の範囲内でベストと思われる方法で目標に向かい、柔軟に仕事をこなす管理の手法。共通の目標のもと、個々の自由が尊重される雰囲気の中で仕事をする方が、個々の能力を発揮するチャンスが多くなり、結果的に組織をうまく機能させることができると信じていた。
デービッド・パッカードの名言
もし自分の才能や能力を最高に発揮できるようなチャンスが与えられれば、社員はみなもっと仕事ができるはずだ。
危険を冒して大切な質問をしなさい。
失敗を恐れてはいけません。
失敗をしないということは自分の目標が十分に高くないことです。
組織ができあがったところで、その組織図は廃棄すべきだと私は常々考えている。
会社はただ金儲けのために存在すると考えている人が大勢いると思うが、それは間違っている。金を稼ぐことは重要な結果ではあるけれども、もっと深いところに会社の本当の存在意義を見つけなければながない。
参考文献 参考URL
- 「デビッドパッカード ヒューレットパッカード共同創業者」 (ダイヤモンドオンライン)
- 「The HP Way HPウェイ」 (デービッド・パッカード 海と月社)
ご意見・ご質問等ございましたら、こちらまでお気軽にお問い合わせください。