リーダー列伝

サム・ウォルトン

サム・ウォルトン

ウォルマート創業者
1918年アメリカオクラホマ生まれ。ミズーリ大学経済学部卒業後、会社勤務を経て軍隊に入隊。1945年の除隊後にアーカンソーの雑貨屋を購入し、チェーン展開を開始(この店は1950年に廃業した)。1954年には彼の弟バドとともにウォルマートの原型ともいえるディスカウントストアの「Walton‘s」(ウォルトンの店)を開業。アーカンソーとミズーリ、カンザスで16の雑貨店を所有。1962年に「Walton’s」の他にウォルマートを創業流通革命を先導し、物流、情報を最大限生かした効率的な経営でシアーズやKマートを抜く全米最大の小売業へ導いた。

略歴

1918年 アメリカ オクラホマ生まれ
1933年 アメリカミズーリ州コロンビアに引っ越し。家計を支えるために働く
1940年 ミズーリ大学経営学部卒業
1945年 軍隊を除隊し、アーカンソーの雑貨屋を購入。
1954年 弟とともに、ディスカウントストア「Walton’s」を開業
1962年 ウォルマート創業
1990年 ウォルマート世界最大の小売り店に
1992年 大統領自由勲章受章
1992年 他界

リーダーとしての大きな特徴

1.一隅を照らし続ける

・「自ら声をかける」
いつも高い目標を設定し、それを達成するための努力は惜しまないウォルトン氏。しかし、一番労力をかけて実践していたのが、「自ら声をかける」ことという原則。
顧客も社員も個人として認め、名前を憶え、相手よりも先に声をかけることを大切にしていた。
自分が相手を大切にして個人として認めれば、相手も自分を認めてくれると信じ、実践していた。

2.使命感あふれる情熱家

・「競争への情熱」
使命感が生む情熱に共感し、集まったウォルマートの社員にも彼の情熱は感染した。「私の人生を、他の人と違うものにした要素を1つ上げろと言われれば、競争への情熱であると思う」というウォルトン氏。顧客は惰性では店に来ない。生活のために考えてから店に来る。だからこそ他店に勝り、選ばれなければならない。その使命感と情熱から、売価を上げずに利益率を上げる交差比率の原理と効果に気づき、10年かけて経営で実践した。

3.楽しむことの天才

・「トラブルは挑戦状」
借地契約に関して契約更新の選択権がウォルトン側にあるという条項を入れなかったために、地主から5年経過した更新時に借地契約の更新を拒否された。さらには、地主から店の設備と在庫を買い取ることを提案される。このような理不尽な状況の中でも、これは大きな挑戦状だと立ち直り、次は20倍の期間の99年契約でベントンビルに土地をかり、更なるビジネスチャンスにつなげた。何事もチャンスととらえ、楽しむことの天才。

小売り業の常識を覆し、わずか50年で小売店業界でNO1となった
「経営のエンターテナー」

リーダーシップ・エピソード 

1.1ドルの価値

ウォルトン氏の少年期から大学生時代までは、かの大恐慌時代。ウォルトン氏は家計を助けるために少年時代からアルバイトをしていた。そこで、1ドルの価値を知る。1ドルを稼ぐのにどれだけ苦労するか、また1ドルがどれだけ素晴らしいかを。それが、ウォルマートの経営にも生きている。店舗の経費は、商品のコストとして顧客が負担する。つまり、ウォルマートがムダに1ドルを使えば、商品を買う顧客が、生活費の中からウォルマートに売価として払うことになる。顧客満足を売ると決めたウォルマート。他より低い価格で売るために徹底的に経費を削減し、Everyday Low Priceを実現。

2.原則による経営

現場主義で、いつも現場に赴いていたウォルトン氏。仕事の中で原則を見つけては、黄色いノートに下手な文字いつもメモ。そして、発見した原則を翌朝情熱をこめて社員にわかるように説明し、実行する。実行は、「サンダウン・ルール」で日没までに終わらせる。その後成果を分析し、間違いがわかれば原則にさかのぼって返る。社員数200万人を超えても、混乱、方向の違い、判断の違い、目指すべきビジョンの違いが起こっていないのは、このような原則とコミュニケーションを大切にした経営を継続してきたことに起因する。シンプルな原則は言葉にすると当たり前。だからこそ実行することに意味があると考えて行動していた。

3.顧客満足を追求し続ける

小売り業の成功の秘訣は、顧客が望むものを必要なときに提供することにある、と述べるウォルトン氏。顧客満足を掲げるだけでなく、実践することに重きを置いた。顧客満足は、顧客の不満を解消することであり、より高い満足を与えることに向かい、企業の毎日、毎週の克己的な努力のこととし、現状満足に陥らない仕組みを作った。この顧客満足の追求が、世界NO1の源。

サム・ウォルトンの名言

たいていの会社には、「歌うトラック・ドライバーズ」というゴスペル・グループも、「ジミー・ウォーカーと会計士たち」という管理職のコーラス・グループもないのだ。真剣に働いているからといって、いつもしかめっ面をしたり、難しい顔をしている必要はないのだ。だが、どんな仕事をする場合でも、私たちは楽しくやりたいと考えている。それは、「口笛を吹きながら働く」式の哲学であるが、この精神でやれば仕事が楽しいだけでなく、よりよい仕事ができる。

どこにでもいる普通の人々に、機会と激励を与え、やる気をひき起こすことができれば、可能なことに限界はない。これは、経営と仕事において、絶対的なことだ。

他者から学ぶことこそ成功への近道。私がやったことの大半は、他人の模倣である。

参考文献 参考URL

  1. 「会計人物伝 第5回 サム・ウォルトン(ウォルマート創業者)~見えない資産の力~」
  2. 「ザ・プリンシプル‐サム・ウォルトンが実践した経営の成功原則100」 (吉田 繁治 商業界)

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