リーダー列伝

アニータ・ロディック

アニータ・ロディック

ボディショップ 創業者
1942年英国のリトルハンプトンで生まれる。両親はイタリア系移民。
英語と歴史の教師をした後、世界中を旅行。帰国後ゴードン・ロディック氏と結婚。ホテル、レストランの経営を経て、1976年ゴードン氏とともに、天然の原料をベースにしたオリジナル化粧品を製造・販売する「ザ・ボディショップ」をブライトンで開店。ユニークな経営方針とフランチャイズ式で世界中に店舗を広げ、世界50か国以上に2000店以上を展開。
1985年にはビジネス・ウーマン・オブ・ザ・イヤーを受賞し、2003年にはデイムを受賞。2007年、脳内出血により他界。

略歴

1942年 英国リトルハンプトン生まれ
1970年 ゴードン・ロディック氏と結婚。夫婦でレストラン経営
1976年 ロディック氏とともに「ザ・ボディショップ」をブライトンで開店
1985年 ビジネス・ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞
1988年 大英帝国勲章受章
1989年 国連観光賞 Global 500 受賞
1990年 日本第1号店を開店
1991年 支店が700店舗に拡大
2003年 ディム受賞
2007年 他界

リーダーとしての大きな特徴

1.社会をよくしたいと強く願う情熱

・「人を動かすのは情熱」
起業家にはスキルよりもビジョンに対しての情熱が必要と語るロディック氏。ロディック氏自身は、学生時代に目にしたアウシュビッツの写真に衝撃を覚え、そこから社会をよくしたいと強く願い、ティーン活動家となった経緯がある。人を動かすのは情熱だとし、その情熱をもってNGOやコミュニティなど多くのつながりを作った。

2.常識にとらわれない創造力

・「人と違った人間になりなさい」
人と違った人間になりなさいと母親に言われて育ったロディック氏。世界中を旅した経験とそこでのコミュニケーションを通じて、独自の考え方や価値基準を築いた。化粧品ビジネスを始めたときも、それまでの業界の常識にとらわれない新しい手法を次々と試した。化学成分ではなく天然成分を使った化粧品、動物実験反対、リサイクル可の容器、中身だけの量り売り、化粧品の広告の代わりの社会問題のポスターなど。

3.チャレンジングな冒険家

・「どこでも行ける」
イスラエルを一人で旅したことが、大きな転換になったと語るロディック氏。どこでも一人で行ける、と何事にもチャレンジできることを実感したという。その後、教職をやめ、夫のロディック氏と出会い、子供ができたことをきっかけに生活のためにレストラン経営を始めるものの疲労困憊し閉店。夫が2年間旅に出ることをきっかけに化粧品に対しての不平不満(不必要な高額容器、適切な量が買えないなど)を解消したいという思いから化粧品ビジネスを開始。

化粧品ビジネスを通じた社会貢献をうたい、化粧品業界の常識にNOをたたきつけた
「美しき活動家」

リーダーシップ・エピソード 

1.コミュニティトレード

ロディック氏は、その信念のもと恵まれない生産者の属するコミュニティの生活改善と持続可能な取引での社会問題解決を目指して来た。世界中で何十もの取引を展開し、何千もの貧しい家庭に職を提供している。取引の対象はニカラグアのゴマ油から、ガーナのココアバターまで。取引に関わる人々にはみな公平な賃金が支払われ、それを彼らが地域に投資することで地元も潤う仕組みを作った。

2.美しさのイメージを変える

化粧品業界の常識だった広告。ロディック氏はその広告が女性の美のイメージを作り上げ、モデルのような体形のみが美しいと女性たちを洗脳している。結果、拒食症などを11歳の少女が患うなどの結果になっていると批判。女性の美しさは太もものサイズではなく自信のことだとし、ふくよかな女性を模したルビー人形を使ってセルフエスティーム・キャンペーンを実施。

3.社会課題解決のための店頭運動

ボディショップの店頭でもオンラインショップでも、社会問題解決のための署名活動を見かける。店頭でのこうした運動に関しては、化粧品ビジネスと政治的活動を一緒にするべきではないと社内外から批判もあったが、自らの情熱をもって信念を貫いた。ニジェールのオゴニ族がシェルの進出により土地や空気を汚され、反抗した結果、数人がニジェール政府に囚われた事実を知り、全国的にキャンペーンを実施。結果、多くが釈放され、シェルに経営透明化を約束させることに成功した。

アニータ・ロディックの名言

社会を変えたいなら女性のネットワークを作りなさい。
諦めてしまう前に、まず行動を起こすこと、そうすればきっとやっているうちに道が開けてくるはず。
どれくらい利益を上げたかよりも、どうやって弱く力のないコミュニティと接してきたかで評価されたい。ビジネスに関わる全ての人がこのような考えを持っていたら、凄いことが起こるだろう。そういう意味で、小さいことは素晴らしいことなのだ。
何かを求めて闘うことのない生活なんて死んでいるようなものだ

参考文献 参考URL

  1. 「BUSINESS AS UNUSUAL」(TWT アニータ・ロディック)
  2. 「BODY AND SOUL ボディショップの挑戦」 (The Japan Times アニータ・ロディック)

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