用語解説

BS経営

単年度の損益ではなく、中長期的な視点でB/S(Balance Sheet;貸借対照表)の純資産を増加させ続けることを重視する考え方。会社の事業を資産と捉え、資産を効率よく活用した上でリターンを適切に生み出すことを目指す。

 

B/S、P/L(Profit and Loss statement;損益計算書)いずれも重要な財務諸表だが、1年間の経営成績を判断するツールとして、収益から費用を差し引いて利益をとらえるP/Lが感覚的に理解しやすいために自然とP/Lが重視されてきた。しかし、右肩上がりの経済成長の環境下でない現在では、事業を推進するために調達した源泉(=お金)が効果的に運用され、収益を生み出しているかを重視せざるを得なくなってきている。

 

単年度ごとにP/Lの黒字幅を重視する負の側面として、P/Lに直接的なインパクトを与えやすい設備投資、研究開発費の抑制がはたらく傾向もある。組織の持続的成長のためには、時には単年度の収益幅を下げることを受容しながら、B/Sの純資産が中長期的に増加し続けるための打ち手を検討すべきである。

 

事業を資産と捉え、その資産から生み出される利益を高めることが基本である。例えば下記のA, B社いずれが優れた企業と捉えることができるだろうか。

 

 

B/Sの総資産額を企業の「カラダ※」の大きさと捉えることができるが、B社は、A社に比べて小さいカラダであるにもかかわらず、A社と同じ利益額を生み出しているため、効率良く利益を生み出していると言える。 企業はROA(Return On Asset;総資産利益率=利益/総資産)を高めなければならないが、利益が市場環境等の影響で思い通りに上昇しない場合、分母の値を小さくする、つまり資産を圧縮する検討は経営・事業責任者にとって定石の考え方である。

 

※B/Sは、企業経営のために調達された源泉の調達方法と源泉の運用状態が記載されている。この資産を活用することによって製品/サービスを生み出しているので、B/Sの総資産額は、企業の「カラダ」と捉えることができる。ROAを高めるためには分子を大きく、分母は小さくしたい。ただし、分母と分子のバランスが重要である。

 

BS経営で、目先の利益だけでなく、中長期的に収益を生み出せる「カラダ」づくりが大切。

 

 

 

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