用語解説

「知」の経営

「知」の経営とは、花王の特別顧問・常盤文克氏が『「知」の経営を深める』(2001年8月:PHP研究所刊)で提唱した経営のコンセプトだ。花王はもともとITを活用した経営では日本において魁となる企業である。1985年からはじまる情報システム革命では、リエンジニアリング、クライアントサーバシステム、製版同盟(ECR)、イントラネット、営業の合理化(SFA)、新エコーシステム(CRM/CTI)などIT業界で一般的になる前から、自社独自の取り組みを続けてきた有数のIT+マーケティングカンパニーだ。ここで言う「知」の経営とはITを活用した経営上の知識の蓄積〜共有〜活用の全社的な仕組み=ナレッジマネジメントのみを意味するものではない。企業としての思想・哲学ある経営コンセプトなのだ。では、「知」の経営のコンセプトの内容を見てみよう。
知とは「人の生きる喜びの根源」である。知が人から人へと伝わる時、そこには人の根源的な「愛」や「気」が介在する。知には知識、理知、才知、知恵、英知、摂理と様々な概念が含まれる。知を考える上では3つの知がある。
  *「明の知」・・・言葉や数値などで示すことができる知
  *「暗の知」・・・はっきりとは明示できないが、間違いなく個々人が持っている知
  *「黙の知」・・・個人ではなく、企業という集団の中にある知
なるほど、相当に奥が深い。黙の知は「究極で何を大事にするのか」の企業遺伝子につながる。暗の知は社員に共通に見られる思考形態・行動パターンだ。そして、明の知がIT活用で明らかにできるナレッジだ。花王では「知」の経営はマーケティングそのものである。ナレッジマネジメントの要素、「情報」。情報とは森鴎外が「information」を日本語訳したものだ。「情=なさけ」に「報=むくいる」。花王の元社長・元会長の丸田氏は最もデータを重視し、情報システム投資に積極的だった。しかし、その根本にあるのは人間性の尊重である。だからこそ、お客様の「声=情」に「応える=報いる」ためのシステムが必要になる。クレームに応える意義がある。クレームこそが商品開発の宝。このような考えが結実したのがエコーシステムである。
「知」の経営とナレッジマネジメントのアプローチの大きな違いは何か?知を企業の方からいかに活用しようとするものではなく、人のほうから育てる、人の方から見る、そのような遺伝子を育む文化。それが「知」の経営である。

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