用語解説

デジタル赤字

国際収支におけるデジタル関連サービスの赤字を指す。日本においてこの「デジタル赤字」は拡大しており、日本銀行のレポートによると2023年のデジタル関連収支は、▲5.3兆円の赤字となった。

 

■デジタル赤字が拡大する背景

 デジタル赤字が拡大した背景には、GAFAMを代表とした海外のビッグテックのサービス利用拡大がある。

  ・OSではPC向けでMicrosoft、スマートフォン向けではApple、Googleが圧倒的シェアを有する

  ・インターネット分野では、検索サービスやSNS、動画視聴においてビッグテックの市場シェアが高い

  ・クラウドサービスでは、Amazon、Microsoft、Googleの3社で、世界のクラウド市場の6割超のシェアを有している

 日本においてこうしたサービスの利用が増加することによって海外への利用料支払いが膨らみ、デジタル赤字が拡大することになる。

■デジタル赤字がもたらす影響

 デジタル化が進展している表れという見方もできるが、負の影響として以下があげられる。

  ・輸出入の観点で赤字が増える、ということは国富が流出していることにつながる。

   インバウンドで日本が得た2023年の黒字は3.6兆円であるがそれを上回る富が海外へ流出していることになる

  ・また、GAFAをはじめとする海外のIT企業に集中することで、料金の値上げやルール決めに対抗できない

   「支配構造」が生まれてしまう

  ・加えてクラウドサービスを通じて国家レベルの情報を預けることで、情報の預け先が偏ることで

   「安全保障」上のリスクも生じている

■今後の対策

  短期的に赤字を解消することは困難であるが、中長期的に国が国産クラウドの採用や利用を促進するといったことに加え、日本企業や個人がデジタルサービスの付加価値や利用範囲を高める開発を行う「攻めのDX」を実現することが赤字解消につながる対策となる。

 

 

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