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2025/4/7

人材育成

経営戦略を実現させる人材育成の要諦とは~主体的な人材・組織による生産性向上~野口吉昭、三坂健が登壇(後編)

■『ワークアウト』を通じて、「自分らしさ」の発見へ

寺澤:ここで視聴者の方からの質問をご紹介します。「社員と会社の関係性が変わったというのは実感していますが、最近の風潮を見ていると、キャリアは誰が責任を持つのかという点が曖昧で、押し付け合いになっているとも感じます。会社は社員のキャリアをどのように捉えるべきでしょうか」とのことです。ぜひお二人のご意見をお聞かせください。

三坂:基本的にキャリアは自分で責任を持つものだと思うんですよね。それを前提に会社は社員のキャリアにどう関わるべきかというと、成長できる機会を提供する、それに尽きるでしょう。

野口:キャリアの責任は間違いなく個人のものであり、会社はその人間がキャリアをどう考えて、どう伸ばしていきたいか、どう次に繋げていきたいかを考える環境を作ることに責任を負うべきだと思います。10がすべて機能しなくても、そのうちの1つか2つは必ず成長機会に繋がるような環境を整えてあげてほしいですね。

寺澤:続いての質問です。「個人がどのようなマイパーパスを持っているのかがはっきりしないと、対集団に対する研修やワークショップだけでは限界があるのではないでしょうか?」とのことですが、こちらはいかがでしょうか。

三坂:本当におっしゃる通りだと思います。私は、人材育成には面と線と点があると思うんですね。面は会社の方針やビジョン、点は会社が用意する教育機会など、点は1on1など上司が社員ひとり一人と向き合うコミュニケーションの場。ただ、この3つがバラバラに機能しているとメッセージがブレてしまうので、できるだけ面と線と点が重なり合うような仕掛けなり工夫をする必要があるでしょう。今の質問に対する回答しては、ポイントになるのは点の部分、つまり1on1です。対話を通じて、本人が持っているパーパスと会社の方向性を擦り合わせ、お互いにイメージし合うことが大切だと思います。

野口:研修を大別すると、学ぶこと、考えること、作ることの3つに分けられると思うんです。『ワークアウト』の場合、学ぶことはあまり多くなく、どちらかというと考えることと作ることを重視しているので、マイパーパスが明確でない人にこそ向いている気がしますね。学ぶ場や作る場だけでなく、考える場もプログラムの中に組み込むことで、自分らしさの発見に繋がると思います。

寺澤:では最後に、ご視聴の皆様に一言ずつメッセージをお願いします。

野口:本日の話をきっかけに、人的資本投資や人材育成の取り組みをさらに活発化させるよう、ぜひ人事担当役員や社長に直接掛け合ってみてください。そして自社「らしさ」の中で人を育て、それを全社員が認知できるような、そんな組織文化を皆さん自身で主体的に動いて作っていただければと思っています。本日はありがとうございました。

三坂:主体性とは、人の意見も参考にしつつ、最終的には自分自身で意思決定をすることだと思います。いきなり大きなことを考える必要はありません。まずは小さなことで構わないので、「それって自分で決めた?」という問いを社員に対して投げかけてみてください。そういう小さな積み重ねが主体性を育むと思います。本日はありがとうございました。

(プロフィール)

■野口 吉昭/株式会社HRインスティテュート 創業者 HRIフェロー エグゼクティブコンサルタント 横浜国立大学工学部大学院修了後、建築設計事務所、ビジネスコンサルティング会社を経て、1993年株式会社HRインスティテュートを設立。独自の視点からのコンテンツ・コンサルティングである「ワークアウト・プログラム」を開発し、使えるコンサルティング・実践されるコンサルティングにこだわって、現場での指揮を執っています。

■三坂 健/株式会社HRインスティテュート 代表取締役社長 プリンシパルコンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業。安田火災海上保険株式会社(現・損害保険ジャパン株式会社)にて法人営業等に携わる。退社後、HRインスティテュートに参画。経営コンサルティングを中心に、事業戦略立案・実行支援、新規事業開発、人事制度設計・運用、人材育成トレーニング等を中心に活動している。また、海外進出を担いベトナム(ダナン、ホーチミン)、韓国(ソウル)、中国(上海)の拠点設立に携わる。加えて、国立学校法人沼津工業高等専門学校で毎年マーケティングの授業を実施する他、各県の教育委員会向けに年数回の講義を実施するなど学校教育への支援も行っている。近著に「この1冊ですべてわかる~人材マネジメントの基本(日本実業出版社)」「全員転職時代のポータブルスキル大全(KADOKAWA)」「図解オンライン研修入門(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」など。2020年1月より現職。

■寺澤 康介 氏/ProFuture株式会社代表取締役社長/HR総研 所長

1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、2007年採用プロドットコム株式会社(2010年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。8万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。

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